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連載3回目

「介助者とともに地域で暮らす―地域でどのように、介助者を集め、育て、マネジメントしている?」イベントレポート③

文/油田優衣 : 写真/

一般社団法人わをん、NPO法人境を越えて共催 2021年3月13日「介助者とともに地域で暮らす―地域でどのように、介助者を集め、育て、マネジメントしている?」イベントレポート3

【イントロダクション】

重度身体障害者が介助を受けながら自立生活をするには、信頼できる介助者の存在が必要不可欠です。しかし、国内では、自立生活を支える重度訪問介護制度が社会的に十分に周知されていないこと、介助者不足という厳しい現状があり、当事者の自立生活の実現を阻害しています。

2021年3月13日のイベント「介助者とともに地域で暮らす―地域でどのように、介助者を集め、育て、マネジメントしている?」では、介助者不足の問題や介助者との関係に向き合い、活動されている当事者の方々をゲストに招きお話を伺いました。

全国障害者介護保障協議会の大野直之さんからは、全国の制度利用についての状況を報告をしていただきました。自薦ヘルパーの利用は、全国どこでも広がりがあるもので、最近では都市部だけでなく、過疎地域の市町村や離島部でも、利用が増えているという話が印象的でした。

(文/油田優衣

目次

一般社団法人わをん、NPO法人境を越えて共催 2021年3月13日「介助者とともに地域で暮らす―地域でどのように、介助者を集め、育て、マネジメントしている?」イベントレポート3

〈基調講演〉大野直之さん:全国の公的な制度(重度訪問介護)の利用状況について
全国の重度訪問介護などの公的な制度の活用状況について

 2017年に石川県で24時間介護の事例ができたことで、47全ての都道府県で、24時間の重度訪問介護などの受給事例が1例以上できました。過疎地の方の小さな市や町や村に住んでいる人や、家族同居で呼吸器を使っている人にも、24時間の重度訪問介護が出ている状況です。

 ある地域で、重度訪問介護などのサービス提供やそれによる地域移行が進んでいるかどうかは、自治体の財政状況や自治体の傾向は全然関係なく、基本的には、そこに住んでいる障害者がどれだけ「頑張ったか」で決まります。そこに住んでいる障害者が、横の連携で情報を融通することで、ある人が「自分も自立生活をしたい」という思いを持ち、しっかりした障害者団体に相談し、制度利用を申請して、市区町村と交渉を重ねることで、結果的に、24時間の支給時間が得られるのです。このように、そこに住んでいる障害者自身がどれだけ「頑張ったか」で左右されるため、制度(重度訪問介護)の利用状況は、地域によって大きなバラつきがあるというのが現状です。

一般社団法人わをん、NPO法人境を越えて共催 2021年3月13日「介助者とともに地域で暮らす―地域でどのように、介助者を集め、育て、マネジメントしている?」イベントレポート3

最近のトピック①常時2人の介助サービスが支給決定

 全国5、6か所で、常時2人介護(毎日48時間分のヘルパーに当たる1か月1,488時間)のサービスが支給決定されています。全員が呼吸器利用者というわけではなく、たとえば広島には、しゃべれる頸損の方もいます。ほかの地域は、たとえばALSで一人暮らしで呼吸器利用者だったり、ALSで家族同居で呼吸器利用者だったりという方が多いことが特徴です。筋ジスの人もいるのです。全国的には、家族が同居していても24時間支給決定が出るような例も増えてきていて、なかには常時2人体制のところもあることをお伝えしたいと思います。

一般社団法人わをん、NPO法人境を越えて共催 2021年3月13日「介助者とともに地域で暮らす―地域でどのように、介助者を集め、育て、マネジメントしている?」イベントレポート3

最近のトピック②過疎地域の市町村や離島部での利用の広がり

 鹿児島の事例の紹介:鹿児島県の離島では、人口が少ないところや、「介護保険のヘルパー事業所もありません」とか、「医療保険の訪問看護もありません」というような島もありますが、我々が地元のALS協会の支部と協力して、支部の人たちが支援する「支援付き自薦」というかたちで、最近ではこういった島々にも24時間の重度訪問介護が使えるようになってきています。与論島で744時間、徳之島で744時間、奄美大島で744時間などが出ている状況です。本土の方も、今までは自立生活センターのある鹿児島とその周辺の、わりと県庁に近いあたりにしか、24時間介護の利用者はいませんでしたが、最近では、まんべんなく過疎の地域のほうも同じように24時間の制度がどんどん取れてきています。

一般社団法人わをん、NPO法人境を越えて共催 2021年3月13日「介助者とともに地域で暮らす―地域でどのように、介助者を集め、育て、マネジメントしている?」イベントレポート3

24時間の介助サービスにおけるヘルパーの勤務体系について

 1日2交代や3交代が多い傾向にあります。1日2交代でやっている人のほうが全国的には多いです。介護保険のヘルパーのように主婦の登録ヘルパーが昼間だけ短時間来るのではなくて、フルタイムで働くヘルパーが最重度の人に入るのが基本となってるのです。

 都市部に行くと、いくつもの事業所が入り混じって入って、なかには一回の訪問が1時間とか2時間だけというようなケースがたまにありますが、重度訪問介護の単価は非常に低いので、そうなるとどこの事業所も赤字になってしまい、質を上げるための研修もできなくなってしまうという問題点があります。自薦ヘルパーにしろ事業所のヘルパーにしろ、一番良いかたちは、一つの事業所で常勤を中心に体制を組むこと。それが重度の人の場合の標準的なやりかたです。

一般社団法人わをん、NPO法人境を越えて共催 2021年3月13日「介助者とともに地域で暮らす―地域でどのように、介助者を集め、育て、マネジメントしている?」イベントレポート3

制度についての情報やお問い合わせについて

 自薦の制度は、2002年の制度改正で消滅して、それ以降は民間の事業所の自由な取り組みとして行なわれています。市町村は支給決定をするだけですので、役所に自薦制度のことを聞いても、「何のことかわかりません」と言われてしまいます。だから、自薦を使いたい時は、市町村に問い合わせるのではなく、われわれ全国障害者介護保障協議会などの団体のほうに問い合わせてください。

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〈Information〉

 全国障害者介護保障協議会のホームページ(http://www.kaigoseido.net/topF.htm):全国各地の呼吸器ユーザーの人たちの時間数を獲得するための交渉過程や、国の制度の情報、全国での制度の利用状況についてまとめられている。

 全国ホームヘルパー広域自薦登録協会(http://www.kaigoseido.net/ko_iki/index.shtml):介護保障協議会の下部団体で、47都道府県どこに住んでいても自薦登録を申し込んで使うことができるように、全国の障害者団体でネットワークを組んでつくられた団体。「自薦登録をまだ使ってない、これからやりたいな」という場合はこちらにお問い合わせください。

 

第4回イベントレポートはこちら

文/油田優衣

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